玄々斎げんげんさい
裏千家十一代。幕末から明治の大きな変化のなかで、椅子とテーブルを使う「立礼」や茶箱の点前を考案し、建白書「茶道ノ源意」で茶道の価値を訴えた。裏千家中興の時代を築いた人として知られる。
何をした人か
- 海外からの客をもてなすため、椅子とテーブルを使う「立礼」の点前を考案した。
- 明治の初め、京都府知事に建白書「茶道ノ源意」を出し、茶道の文化的な価値を訴えた。
- 女学校に茶道の門戸を広く開き、「学校茶道」が始まるもとをつくった。
- 茶箱(点前の道具一式を入れた携帯用の箱)を使う点前「雪月花」「卯の花点」を考案した。
- 天保11年(1840)の利休二百五十年忌を機に、咄々斎・抛筌斎などの茶室を新築・増築した。
生涯
文化7年(1810)、三河国奥殿藩の四代藩主・松平乗友の子として生まれた。裏千家は、生誕の地を今の愛知県岡崎市とする。10歳で裏千家十代認得斎の跡継ぎの養子となり、認得斎が亡くなると、その長女と結婚した。文政9年(1826)、裏千家十一代の家元を継いだ。兄の又日庵は渡辺家の養子となった茶人で、茶道資料館は、兄弟が茶人として親しく交わったと紹介する。
天保11年(1840)の利休二百五十年忌にあたり、表門・玄関・咄々斎・抛筌斎などを新築・増築して、裏千家の様子を一変させた。幕末から明治の動乱期には、千家の長老として宮中への献茶(貴人に茶を点てて献じること)をはかった。
明治維新で社会のしくみが変わると、大名家に仕えていた茶道の家元などは禄(仕える家から受ける給与)を失い、苦しい立場に立たされた。文明開化のなかで西欧化が進み、古くからの伝統や文化が否定される風潮もあった。玄々斎はこれを憂え、京都府知事に建白書「茶道ノ源意」を出して、茶道の文化的な価値を当時の為政者に認めさせようと努めた。日本人名大辞典は、提出を明治5年(1872)とし、提出先を政府と書く。
立礼は、椅子とテーブルを使う点前である。裏千家は、海外からの来訪者をもてなすために考案されたと説明する。点前は点茶盤というテーブルで行い、点てる人は円椅という丸い椅子に腰掛ける。客も喫架という卓の前で、円椅に腰掛けて茶を飲む。立礼が初めて実際に使われたのは、明治5年(1872)の京都博覧会とされる。考案の時期は、裏千家の公式サイトが「江戸末」、辞典は「明治初め」「明治4年」「明治5年」「1874年(明治7)」などと書き分けている。
玄々斎は、それまで大名や裕福な人たちの楽しみや教養だった茶道を、若い世代の教育に役立てようと、女学校に門戸を広く開いた。明治5年(1872)に設立された京都府立の新英学校と女紅場に、玄々斎の長女で十二代又玅斎の夫人が茶道師範として迎えられた。裏千家は、これを始まりとして、各地の女学校で茶道が教えられるようになったと記す。玄々斎は明治10年(1877)7月11日に没した。
いまの茶道に残るもの
立礼は今では各流派に広まり、屋外やデパートなど、畳のない場所に茶席を設けるときにも使われている。茶箱には元来、決まった点前がなかったが、玄々斎が「雪月花」「卯の花点」を考案したことで、裏千家には茶箱の好みが多い。裏千家の初釜式(新年に初めて釜をかけて行う茶事)では、玄々斎好みの菓子「菱葩」がふるまわれる。裏千家宗家の三大忌の一つ「精中・圓能・無限忌」は、玄々斎と、その孫の十三代圓能斎、十四代無限斎をしのぶものである。
年表から
- 1871・1872玄々斎が立礼を考案する
関係する人
出典
- urasenke.or.jp/textc/about/spirit4.html
- urasenke.or.jp/textc/about
- urasenke.or.jp/textc/gakucha/g-about
- urasenke.or.jp/soke-koyomi/44694.html
- urasenke.or.jp/textc/gallery/exhibition/令和8年-特別展
- urasenke.or.jp/archives/textc/gallery/museum/te…
- urasenke.or.jp/soke-koyomi/1359.html
- urasenke.or.jp/soke-koyomi/64970.html
- kotobank.jp/word/千宗室
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- bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/se…